【はじめに】

元地方公務員、地元奈良では対面でそして遠方の方にはオンラインでコーチングをしている澤村一誠です。
大学卒業後、平成元年4月からは奈良県警察官として、平成3年11月に奈良県警察官を退職後は、大阪府の八尾市役所の職員として2021年3月まで合計約31年間地方公務員として仕事をしてきました。

【縁もゆかりもない市役所の面接の戦略】

前回のブログでは、行ったこともない、駅に降りたことさえない、本当に縁もゆかりもまったくない市役所の最終面接に臨むために脳みそが腫れてちぎれるくらい考えて志望動機を考え面接試験に合格したことをお伝えしました。
今回のブログでは、私のように縁もゆかりもまったくない市役所の採用試験を受験した際の志望動機のつくり方をお伝えします。
地方公務員になる動機はさまざまだと思います。
「安定している。地元で働きたい。営利を追求する会社という組織で仕事をするのに抵抗がある。採用試験を受験する自治体で生まれ育った場合には、自分が生まれ育った県が、市が、町が、村が大好き、愛着がある。もっともっと良くしたい」といった動機で受験する場合もあるでしょう。

しかし私のように受験する自治体に縁もゆかりもまったくない場合はどうすればいいのでしょうか?
悩ましいですね。面接官からすれば突っ込みどころ満載です。

一般的に採用試験は事前に志望動機を記載しているエントリーシートを提出します。
面接試験では面接官がエントリーシートを見ながら受験者に質問します。
そのエントリーシートに志望動機をどのように記載するかがまず第一関門です。
脳みそが腫れてちぎれるほど考えなけれならないところです。

【政策に注目する】

そういったときは志望する自治体の政策に注目することをお勧めします。
政策という言葉はお聞きになったことがあるかと思います。
政策とは一般に、個人あるいは集団が、欲求の対象としている財や状態といった特定の価値を獲得し、維持・増大させるために考える行動の案・方針または計画のことをいう。その主体となるのは一般に国家あるいは中央政府であるが、地方政府もまた独自の政策をもちうる・・・「日本大百科全書」より
このように地方政府、いわゆる都道府県、市町村も独自の政策を有しています。
この政策に注目してみるということです。

どのように注目するかですが、漠然とでも自分が興味のある分野がある場合、分野とは、例えば「教育」とか「福祉」とか「産業」とか「環境」といったもの、もう少し細分化したもの、例えば「教育」なら「学校教育」、「生涯教育、「福祉」なら「高齢者福祉」、「児童福祉」、「産業」なら「工業」、「商業」、「農業」、「環境」なら「地球温暖化」、「ごみ」といった分野でもかまいません。
こういった興味のある分野を念頭に置きながら志望する自治体の総合計画を眺めてみてください。
【総合計画】・・・新しいキーワードが出てきましたね。
少し補足しますね。
【総合計画】とは、地方自治体の全ての計画の基本となり、地域づくりの最上位に位置づけられる計画である。長期展望をもつ計画的、効率的な行政運営の指針が盛り込まれる。
一般的に策定に当たっては、「基本構想」とこれに基づく「基本計画」および「実施計画」からなるものが多い。おおむね10年間の地域づくりの方針を示す「基本構想」を受けて、5年程度の行政計画を示す「基本計画」、3年間程度の具体的施策を示す「実施計画」の3つを合わせて総合計画という。地域の将来像やなすべき施策や体制、プログラム等が記述される。『ウィキペディア(Wikipedia)』より。
いわばまちづくりの「憲法」、「バイブル」、「羅針盤」といったところでしょうか。
この総合計画ですがかつては、地方自治法において、総合計画の基本部分である「基本構想」について議会の議決を経て定めることが義務付けられていました。しかし、平成23年の地方自治法の一部改正により、この策定義務はなくなりましたがほとんどの自治体は条例を根拠に総合計画を策定しています。このあたり法律の経緯はまた稿を改めたいと思います。

【自分ならどうするか?】

もともと興味のある分野であれば総合計画の該当部分を眺めてみると何らかの気づきや疑問が湧いてくると思います。
例えば日本最大の市である横浜市の総合計画の高齢者福祉分野の記載はどうなっているのか紹介しますね。

以下【横浜市中期4か年計画2018~2021】から抜粋
政策 28「シニアが活躍するまち」
■政策の目標・方向性
高齢者がこれまで培った知識や経験等をいかし、ライフスタイルに合わせて、地域の担い手として就労やボランティアなど様々な場面で社会参加することにより、活躍できる、活力ある社会を目指します。
就労を望む高齢者に向け、就業機会の提供や情報提供の強化、起業に向けた支援を進めます。
社会参加することで、いきいきと意欲を持って生活することができ、介護予防・健康づくりにつながる仕組みづくりを推進します。
■現状と課題
内閣府の「高齢者の日常生活に関する意識調査(平成26年度)」では、働けるうちはいつまでも働きたいという回答が最も多くなっています。
「よこはまシニアボランティアポイント」は、普及啓発や対象となる活動の拡大を積極的に推進し、活動者数が1万人、受入施設は500か所を超えています。
健康寿命が延伸し、人生100年時代が到来する中、都市の活力を高める観点からも、就労やボランティア活動など、シニア世代が元気に活躍し続けられる社会を目指すことが重要です。
国や企業においても、年金支給年齢の引上げや定年延長といった動きがある中、働けるうちはいつまでも働きたいといった高齢者の意向を踏まえ、経験やスキルを発揮できる場の提供・起業支援などにより、地域や経済の活性化につなげていくことが必要です。
社会の一員として、社会のために役立ちたいという高齢者の意向を踏まえ、蓄積してきた知識や経験をボランティア活動や地域活動といった地域貢献・社会参加につなげる取組が求められています。
地域の中で介護予防や健康づくりに取り組むことができ、自分らしく健康で生きがいのある生活を送ることができる環境づくりが必要です。
社会参加などにつながるきっかけとなるよう、生涯にわたり、学ぶことができる機会の提供が必要です。

総合計画は概ねどこの自治体も「目標・方向性」と「現状と課題」という体裁になっています。
そして自分なりに
・どうしてこういったことに力を入れているのか。
・背景には何があるのか。
・横浜市と他の自治体の違いは何なのか。
・現状と課題に対して自分ならどのような方向性を打ち出すのか。
の疑問に対する答えを考えてみてください。

【まとめ】

地方公務員になりたいという動機は様々でしょう。
私は崇高な志望動機ではありませんでしたので脳みそが慣れてちぎれるくらい考えました。
私とは異なり崇高な志望動機があればあるに越したことはありませんが「安定」や「待遇」を志望動機にすることは何らやましいことはありません。
私の経験からも崇高な面接で志望動機を答えた職員が素晴らしいい職員になるとは限りません。
安定や待遇を志望動機にした職員が入庁してから真摯に市民サービスに従事する場合もあります。
ただし面接ではこのような理由を志望動機にするのはNGです。
場合によっては本音と建前の使い分けは必要ですし戦略も練ることも必要です。
今日のブログが地方公務員を志望する方に少しでも参考になれば幸いです。

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