【旧採? 新採?】

元地方公務員、地元奈良では対面でそして遠方の方にはオンラインでコーチングをしている澤村一誠です。
大学卒業後、平成元年4月からは奈良県警察官として、平成3年11月に奈良県警察官を退職後は、大阪府の八尾市役所の職員として2021年3月まで合計約31年間地方公務員として仕事をしてきました。

私が、八尾市役所に入庁したのは平成5年4月でした。
入庁したばかりなのに前月の3月に第一子の長女が誕生したこともあり、長女を被扶養者として申請したことを覚えています。
新採向けの給与や制度のオリエンテーション、少し言葉を補足させていただきますね。新採とは新規採用職員のことです。
我々、地方公務員の世界では(少なくとも私が知る限りでは)入庁(民間会社での入社)したばかりの職員(社員とは呼びません)のことを「新採職員」とか「新規採用職員」と呼びます。

その新採職員向けのオリエンテーションで、給与制度について説明されていた人事課の担当の方が開口一番、「念のために確認させていただきます。居られないとは思いますが新規採用職員の方の中で扶養を申請される方、挙手してください」とおっしゃいました。
「・・・・居られないとは思いますが・・は余計じゃ」と思いながら「はい」と挙手しました。
いやぁー恥ずかしかったですね。周りを見渡しても挙手したのは私だけでした。

その後の人事課の担当の方の追い打ちをかけるような説明も忘れもしません。
「澤村さんお一人ですね。そうですか。実は新採職員で扶養に入れられるお子さんがおられるのは八尾市では2人目です」
このような発言、みなさんはどう思われますか。「パワハラ?」「セクハラ?」「マタハラ?」
担当の方に悪気はなかったと思いますが、なんとなく嫌悪感を覚えました。
もう約30年前の話です。今でこそ地方公務員の採用試験の受験資格の年齢制限(上限)が緩和されたこともあり入庁時にこどもがいるといったことは珍しくなくなりましたが当時はそんな状況でした。

その後、新規採用職員の入庁時研修を経てそれぞれの所属に配属されるという流れになります。
新際職員は配属された所属では〇〇君とか〇〇さんと名前で呼ばれますが、他の所属の職員からは親しみを込めて「新採さん」と呼ばれます。呼ばれますが・・・私は、親しみを込めて?「新採さん」ならぬ「旧採さん」と呼ばれていた、と入庁してしばらくして教えていただきました。それだけ仕事が出来た、、いや「貫禄があった」ということでしょうか。

【悩みに悩んだ、そして悩んだ、悩み続けた】

私が旧採、いや新採職員として配属されたのは財政課という所属でした。
仕事は翌年度の予算編成、前年度の決算分析、国や大阪府への補助金の取りまとめ、地方交付税の計算、市の借金(市債と呼びます)の借り入れなどなど。
国では財務省のような仕事です。市役所でも肉体的も精神的にも最もハードな所属の一つでした。
やはり旧採のような貫禄があったからでしょうか配属されたのでしょうか。

仕事はわからない。先輩は仕事を教えてくれない。毎日22時まで残業という日々でした。
しんどかったですね。今となっては懐かしいですが当時は苦しくて悩みに悩んだ日々でした。
仕事の苦しさや悩みもさることながら新採職員に課される雑用も嫌でした。

毎朝先輩職員より早く出勤して執務室を箒で掃いて先輩職員の机を雑巾がけ、そしてゴミ箱のごみを捨て、パソコンの電源をオンにする。そして新聞受けから新聞を取って綴じる。これらの仕事が朝のルーティンでした。
配属された新規採用職員が複数であればこれらの仕事を分担することも可能ですが財政課に配属されたのは私だけでしたのですべて一人でやらなければなりません。
八尾市役所に限らず他の市役所や民間企業も当時はどこもそんなものだったと思っていましたので嫌でしたがあまり疑問には感じませんでした。

疑問に感じたのは残業が毎日22時までの財政課特有の新採職員の仕事です。
22時まで仕事をするので私も含めて先輩職員は執務室で夕食を食べます。
食べてからもうひと踏ん張りという訳です。
外に食べにいくという選択肢もありますが食べに行くと時間がもったいないため店屋物で済ませていました。
この店屋物を何にするか先輩に聞いて店に電話をして配達してもらい、代金を集めて払うという仕事がありました。
日によっては先輩職員が食べたいものが複数の店になることもあり注文だけで時間がかかったり、また先輩が小銭を持っていないことがあり自分で立て替えて支払い翌日に先輩に請求するといったこともたびたびありました。
このときのことを思い出すと今でも忌々しく腹が立ちます。
当然の仕事と言えば当然なのかも知れませんがせめて店を全員で同じところにするとか必要な小銭を用意しておくとかは当たり前やろ「ええ加減にせえよ」と思っていました。
この仕事、いや雑用だけはどうしても新採の仕事だと割り切ることができず悩んで悩んで悩み続けていました。

【で・・・どうしたか】

まず、この悪魔のような雑用を避けるために私がしたことは、夕食を家から持って行くことでした。
定時が終わり残業時間に突入すると、おもむろに先輩が「今日の晩飯はどこにする?」と私の目を見ながら他の職員にも聞こえるようにいつものように口にします。
「またか」と心の中で思いながら「私は家から夕食を持ってきていますので」と間髪いれず、この間髪入れずというのが大切です。
このような私の状況(夕食を持参している)にもかかわらず夕食を注文することを求めることはないだろうという私なりの計算です。で結果は・・・・・・・・・・

【作戦の結果は・・・予想どおり】

やりました。作戦勝ちです。嫁さんには手間をかけましたが作戦勝ちです。
やった~一誠、よくやった。
かの先輩職員(「今日の晩飯はどこにする?」と私の目を見ながら他の職員にも聞こえるように口にした職員)は、私が入庁する2年前に入庁した先輩職員に対して「そうか。しょうがないか。それなら今日は〇〇注文してくれ)とのたまった次第です。(〇〇さんすみません)
私は本当にしょうもない、やる価値のまったくない、馬鹿らしい、忌々しい雑雑雑雑用から逃れることができました。

【まとめ】

昨今は庁舎管理も委託業者が市から委託を受けて清掃などをしているところがほとんど箒で掃いたり机を拭いたりといった雑用は少なくなっています。
ですが順送りで新規採用職員がやらなければならない雑用もあります。
こういった雑用は雑用と思わず自分の仕事だと割り切ってやりましょう。
「どんな仕事でも雑にすれば、雑用になる。どんな雑用でも心を込めれば、立派な仕事になるぜよ」by 坂本竜馬

どうしても納得できない雑用を言いつけられたら自分にその雑用が来ないように作戦を立てましょう。
周囲を巻き起こんで全員がその雑用をする仕組みをつくりましょう。例えば店屋物の注文などは一般職で交代することも可能ですし決まった時間までに食べたいものとお金を入れる箱をつくるといったことも考えられます。
自分だけに火の粉がかからないように頭をつかいましょう。
気の許せる先輩職員に愚痴をこぼすのもひとつです。

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