【はじめに】
元地方公務員、地元奈良では対面でそして遠方の方にはオンラインでコーチングをしている澤村一誠です。
大学卒業後、平成元年4月からは奈良県警察官として、平成3年11月に奈良県警察官を退職後は、大阪府の八尾市役所の職員として2021年3月まで合計約31年間地方公務員として仕事をしてきました。
今回のブログでは、地方公務員のメンタル不調についてお伝えします。
そもそもメンタル不調とは何でしょうか?
正式にはメンタルヘルス不調という言い方をします。
メンタルヘルス不調とは「労働者の心の健康保持増進のための指針」によると「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むもの」と定義されています。
最近、研修講師の仕事などで市町村を訪問すると担当者の方から「メンタルの不調者が増えていまして」という話をよく耳にします。
私も前職の市役所で人事担当の責任者として仕事をしていた頃、「メンタルヘルス不調者が増えている」という実感はありました。
客観的なデータは記憶していませんが、若い職員から年配の職員まで年齢層の偏りもなく、また不調者も特定の職場ではなく様々な職場に万遍なく散らばっていました。
【メンタル不調の原因は?】
メンタルヘルス不調者が発生した場合は、発生した所属の所属長(課長)から報告が入ります。
この時点の所属長からの報告は、そういった事実の発生と今後の対応策の検討です。
担当課の所属長もですが、人事の責任者としても正直、頭の痛いところです。
短期間で職場復帰してくれればさほど大きな影響はありません。
しかし、一般的にメンタルヘルス不調は長引くことが多く、担当課の課長に対して欠員が生じたままいつまでも仕事をマネジメントしてもらうことはできません。少人数職場であればあるほどマネジメントが厳しくなります。
職場によっては、産前産後休暇や育児休業を取得している職員がいて、もともと必要な人員を下回っているところもあります。加えての不調者の発生ですので業務運営上本当に厳しくなります。
メンタルヘルス不調者の中には、正直「あの職員がメンタルに?」、「あいつがメンタルに?」となりそうもない職員がメンタルヘルス不調になる場合もあります。
一方、線が細くて、こちらが注意していた職員でもそういったことのまったくない職員もいます。
人間は外見ではわからないものだとつくづく感じます。
所属長から報告があれば人事担当の責任者としては、まず原因を確認します。
大人数職場で所属長と職員の心理的距離や物理的距離が離れている場合、原因が明確にわからない場合もありますが推測であっても可能な限り確認します。
原因によってはすぐに対応し、原因を除去することで不調者の職場復帰を促すことが可能になる場合もあるからです。
例えば、一定期間、仕事が当該職員に集中している場合や時間外労働が継続している場合は、業務の割り振りを見直すことが可能です。
【原因が上司や部下との人間関係の場合】
上司や部下との人間関係が原因の場合が非常に厄介です。
こういった場合、直ぐに原因を除去することは非常に困難です。
上司のパワーハラスメントが原因との申立てであってもまず、事実を確認する必要があります。
確認するのにもある程度の時間は必要ですし、きちんと確認が取れたとしても対応策は限られています。
私の経験からお伝えすると原因が人間関係のメンタルヘルス不調は、定期人事異動の直後や4月、5月の連休明けが多く翌年度の人事異動までほぼ1年の期間がありますので人事異動で原因を除去することは事実上出来ません。
悩ましいですね。
こういった場合、もし課内での上司と部下の組み合わせの変更が可能なら担当課の課長にその旨を伝えて組み合わせの変更の検討を依頼します。
しかし注意しなければならないのは、もしパワーハラスメントが事実なら組み合わを変えたところで新しい被害者をつくることになりかねません。こうなると元も子もなく、ますます組織運営が厳しくなります。
言葉は適切ではありませんが“だまし、だまし”、新たな不調者が発生しないように留意しつつ仕事を回すしかありません。
【で、地方公務員にメンタル不調者が多いのは本当か】
さて、今日の本題です。
地方公務員にメンタル不調者は多いのかどうか? また原因は何か?資料を探してみました。
結論から言うと多いのかどうかを示す客観的なデータは確認できませんでした。
確認できませんでしたが、武田総務大臣の閣議後の記者会見で以下のような質疑応答がなされていましたので掲載します。
〇地方公務員のメンタルヘルス対策
問:総務省が地方自治体職員にメンタルヘルス調査を実施するとのことですが、その狙いと、今後の総務省のメンタルヘルスの対策等についてお聞かせください。
答:多発する災害、またコロナ禍などにより、地方公務員のメンタル不調者の更なる増加が懸念されることから、メンタルヘルス対策の充実が必要となると考えております。
そのため、まずは、地方公共団体における現状や対応策等を把握するため、今月調査を実施したものです。
また、本年度、総務省では、地方公務員安全衛生推進協会と連携し、メンタルヘルス対策の研究も行っているところであり、この成果や調査結果等を踏まえて、地方公共団体におけるメンタルヘルス対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
発言には、「・・・多発する災害やコロナ禍などにより、地方公務員のメンタル不調者の更なる増加が懸念されることから・・・」とあり増加しているのは間違いありません。
【まとめ】
メンタルヘルス不調者の増加は、業務に多大な影響を与えます。延いては、住民サービスの低下も懸念されます。
そういったことのないようにメンタルヘルス不調者を出さないようにすることが大切です。
出さないようにするためにはどうすればいいのでしょうか。
原因が同じでもメンタル不調になる職員とならない職員がいます。
労働者である職員自身がストレスや心の健康問題に適切に対処することが重要です。
次回以降のブログでは、メンタルヘルスケアのセルフケアについてお伝えします。
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